モニターの音が悪い?PS5やSwitchで外部スピーカーを使う「HDMI音声分離」

モニターの音が悪い?PS5やSwitchで外部スピーカーを使う「HDMI音声分離」

動きの速いゲームを快適に遊ぶために、テレビからPC用のゲーミングモニターに買い替える人が増えています。しかし、いざPS5やNintendo Switchを繋いでゲームを起動した瞬間、「なんだか音が軽い…?」とがっかりした経験はないでしょうか。「それなら、手持ちのPC用スピーカーや古いサウンドバーを繋ごう」とゲーム機の背面を見ると、今度は「光デジタル端子」や「アナログ音声端子」がないことに気づきます。映像はモニターで綺麗に見たいけれど、音はHDMI非対応の手持ちのスピーカーから出したい。今回は、そんなゲーム環境の接続の悩みを解決する「HDMI音声分離機」という道具について、メリットと知っておくべき制約を解説いたします。

1. なぜPCモニターの内蔵スピーカーは音が物足りないのか

大前提として、大半のPC用モニターに内蔵されているスピーカーは「とりあえず音が鳴る」ことを目的として設計されていることが多いです。

良い音(特に低音)を出すには、スピーカー内部にある程度の「空間の広さ」が必要です。しかし、近年のモニターはデザイン性を重視して限界まで薄型化・ベゼルレス化(枠を細く)されているため、物理的に大きなスピーカーユニットを搭載するスペースがありません。

結果として、1W〜2W程度の小さなスピーカーが背面にひっそりと埋め込まれることになり、音が後ろにこもって聞こえたり、スマートフォンのスピーカーよりも軽く薄い音になってしまうことが多いのです。「モニターの故障かな?」と疑う方もいますが、構造上の仕様であることがほとんどです。

2. 古い外部スピーカーが、PS5にそのまま繋がらない理由

モニターの音が物足りないなら、別のスピーカーを用意すればいい。しかしここで、接続の壁にぶつかります。

HDMI入力端子を備えた最新のAVアンプやサウンドバーであれば、PS5と直接HDMIケーブルで繋ぐことができます。しかし、PC用のスピーカーや、光デジタルやアナログ入力しかない古いサウンドシステムを使いたい場合、昔のゲーム機には付いていた「光デジタル音声出力端子」や「アナログ端子」が、PS5本体には搭載されていません。

Nintendo Switchの場合、本体上部に3.5mmのイヤホンジャックはありますが、TVモードで遊ぶ際にわざわざ本体から長いケーブルを引くのは配線が煩雑になります。

モニターのイヤホンジャックを使う方法

モニター側にイヤホンジャック(AUX端子)があれば、そこから外部スピーカーへ繋ぐことは可能です。ただし、製品によってはモニター内の安価なオーディオ回路を経由するため、ノイズが乗ったり、音量や音質が物足りなく感じたりするケースがあります。

「HDMIから出力される音声を、モニターの回路を通さずに、光デジタルやアナログ接続で手持ちのスピーカーに送りたい」。これを叶えるための道具がHDMI音声分離機です。

3. 映像と音の道を分ける「HDMI音声分離機」の仕組み

「HDMI音声分離機(オーディオエクストラクター)」は、HDMIケーブルの中を流れている「映像」と「音」のデータを途中で分離してくれる小さな箱です。

どうやって繋ぐのか?

  1. ゲーム機から出たHDMIケーブルを、音声分離機の「入力(IN)」に挿します。
  2. 音声分離機の「出力(OUT)」から新しいHDMIケーブルを繋ぎ、モニターへ挿します(これが映像の道になります)。
  3. 音声分離機に備わっている「光デジタル端子」や「アナログ端子」から、お持ちのスピーカーに繋ぎます(これが音の道になります)。

音声分離機を使うメリットと「制約」

【メリット】手持ちのスピーカーが活かせる:HDMI入力がないPCスピーカーやアンプでも、モニターのスピーカーに頼らずに音を出せます。モニター側のイヤホン出力の音量やノイズに不満がある環境では、分離機を経由して直接スピーカーへ繋ぐことで状況が改善する場合があります。

【制約】サラウンド環境には注意:光デジタル端子(S/PDIF)は伝送できるデータ帯域に制限があります。そのため、PS5のLinear PCM 5.1ch/7.1chや、現行Nintendo SwitchのTVモードで出力されるLinear PCM 5.1chを、そのまま非圧縮で通すことはできません。一般的な分離機の光デジタル接続は「2chステレオ用途」や、機種によっては「圧縮5.1ch用途」と考えるのが安全です。本格的な非圧縮サラウンドを構築したい場合は、分離機ではなくHDMI対応のAVアンプ等に直結する必要があります。

4. 買う前に確認!PS5とSwitchで異なる「映像仕様」の選び方

音声分離機は映像の通り道になるため、機材のスペックが低いとモニターに届く映像の質まで落ちてしまいます。遊ぶゲーム機によって必要なスペックが異なります。

PS5で使う場合(4K / 120Hz対応が鍵)

PS5は、最大で「4K解像度」かつ「120Hz(1秒間に120回の画面更新)」という非常に滑らかな映像を出力できます。もし古い分離機(4K 30Hzや4K 60Hzまでしか対応していない等)を挟んでしまうと、そこがボトルネックになり、本来の滑らかさが発揮できなくなります。PS5の性能をフルに活かすなら、「HDMI 2.1規格(4K/120Hz対応)」の分離機を選ぶのが理想です。

Nintendo Switchで使う場合(フルHDで十分)

一方、現行のNintendo SwitchはTVモードでの最大出力が「1920×1080(フルHD)/ 60fps」です。そのため、Switch専用で使うのであれば、高価な4K/120Hz対応モデルでなくても、一般的な「フルHD/60Hz」や「4K/60Hz対応」の分離機で十分に性能を発揮できます。

HDCP(著作権保護)への対応

ゲーム機でNetflixやAmazon Prime Videoなどの動画配信サービスを見る場合、HDCPという著作権保護技術が働きます。分離機側がHDCP(4K/HDRならHDCP 2.2以降など)に対応していないと、動画再生時に画面が真っ暗になったり解像度が落ちたりすることがあるため、動画も見る方は必ず対応状況を確認してください。

5. まとめ:音環境が整うと、ゲームの満足度は跳ね上がる

テレビからゲーミングモニターへ移行した人が直面する「音の物足りなさ」は、多くの場合、手持ちの外部スピーカーを活用することで解決できます。

最新のゲーム機に光デジタル端子がなく、モニターのイヤホンジャックの音質に不満がある環境でも、HDMI音声分離機を間に挟むことで、PC用スピーカーや古いアンプへ直接音声を送る道が開けます。

目から入る映像と同じくらい、耳から入る「音」はゲームへの没入感を左右します。今の音環境に少しでも物足りなさを感じているなら、ゲーム機の仕様に合った分離機を活用して、自分好みのスピーカーを繋いでみてください。

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